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2010年12月6日月曜日

ベストカー情報版 公式ファンブック PS3「グランツーリスモ5」[SCE] 紹介

 フラゲじゃない遅報ですが、グランツーリスモ5のムックについて紹介と山内氏のインタビューを。

 ◆概要等

・ベストカー編集のグランツーリスモ5公式ファンBOOK、と表紙に書いてある
・定価1000円でフルカラー
・表4もGT5の広告。それ以外はVW Poloとalpinestarsのレーシンググローブ/シューズの1ページ広告があるぐらい

・まずはどういうゲームか、という所から紹介
・次に必要なのはPS3本体とゲームソフトなどと言う紹介も
・更に各ゲームモードの紹介も一通り、各2ページぐらいずつ紹介
・プレミアムカーとその他収録車種一覧

・GTアカデミー紹介1ページ

・現在は日産GT-Rの開発ドライバーを務めている鈴木利男氏のGT5でのニュルブルクリンク北コース走行2ページ、コース紹介2ページ、ニュルブルクリンク北コース自体について2ページ
 チューニングでは足回りを安定方向に。「パワーオーバーになりやすい部分はある」との事。

・ポリフォニーデジタル開発スタジオ紹介2ページ。入り口がどこか分からない
・社内でも最大の面積を持つランドスケープチームと、カーモデリング、サウンドチームの仕事を紹介、2ページ
 契約関連は面倒で、山内氏は毎日何らかの契約書にサインしているとか。

・ラリードライバー奴田原氏&新井氏によるダート対決3ページ
 結果はランサーを駆る奴田原氏の圧勝に。ランサーの方が安定方向だそうです。

・GTドライバーの脇阪選手がSC430のGTカーをGT5で走らせたりスーパーGTについて語ったりする3ページ
・女性モデルでカートドライバーの塚本奈々美さんがGT5のカートを運転してみる2ページ

・ゲーム内のライセンス攻略
・収録車種一覧
・コース一覧
 GT-Rを一定の条件で走らせた場合のターゲットタイム付き。

・D1グランプリで09,10と連覇している今村氏のドリフト講座3ページ、ドリフトについて語る1ページ
 ゲームは不得意という物の、チューニングを経て10フラッグは取れるようになっていたとか。

・フォーミュラニッポン07-08年チャンピオンの松田氏が語るチューニング例5ページ
 レーシングでないマシンでのサーキット走行では、まず車高を下げてキャンバーを付け安定性とコーナリング時の逮夜接地性を高めてから云々~と割と分かりやすく書いています。

・鈴木亜久里氏Bスペックについてあまり語らない4ページ
 主にレースの監督は何をしているのかについて語っています。その後、3D対応モードで自分で運転した時は好タイムを連発したそうです。

・フォトモード撮影の基本2ページ
 構図、画角、絞りと被写界深度、シャッタースピードや流し撮り、フィルターなどについて一通り紹介。
・シリーズの歴史2ページ

 ◆山内一典氏インタビュー
 最初の物は山内氏に自動車評論家の鈴木直也氏がインタビュー。

・GT5で物理演算エンジンは安定してきたのかと思うかもしれないがそうでもない
・エンジンはメジャータイトル毎に進化しているので今世代で五世代目
・パラメータも増えているが、エンジン自体もがらりと変化している
・仕事量の3-4割を占める重要な物

・物理演算の改良は終わりのない開発で、まだまだ日々発見がある
・ラップタイムのシミュレーションだけで言えば6,7年前に一応の完成を見た
・が、ドライブフィールや条件の違いにおけるキャラクターの整合性と言った物を現実に近づけるのはそう簡単ではない
・今作の例えばGT-Rはロールやピッチが自然になったが、完璧かというとまだまだ

・かれこれ15年近く、ほぼ毎日テストドライバーをやっているが、物理演算エンジンの開発はエンドレスな物だと改めて思う

・再現するのが一番難しいのはタイヤ
・外乱のない宇宙空間を飛ぶ人工衛星のシミュレーションが一番簡単で、次いで飛行機は比較的シミュレートしやすい
・が、接地するとリアルなシミュレートは急に難しくなる
・路面に接しているのは葉書大の四つのタイヤ接地面で全ての入出力はここから出入りする
・車が動けば接地面は不断の変化をするし複雑な力が加わる、その時タイヤと接地面で何が起こっているのか、を正確に再現出来るエンジンが無ければ「リアルドライビングシミュレーター」にはなり得ない

・タイヤの接地面をミクロ的に見ると、表面のゴムで剪断摩擦という特殊な減少が起こっている
・これを全て解析するのは非常に難しく、タイヤメーカーも未知の世界が沢山あるというぐらいの物
・なので、ミクロの動きはよく分からないが仮説モデルを物理演算エンジンに組み込んでいる
・そして実際にGTで走ってみて検証するフィードバック作業を行う
・現実の走行試験のような物で不具合や走行フィールのフィードバックをしている

・基本が出来ると、車両の固有データを入力すればかなりリアルに走りを再現出来る
・基本的に車は寸法や重量などの基本的な構成で決まる。特にレーシングスピードでは
・開発していると物理の限界は超えられないと言う事がよく分かる

・例外としてはヨーコントロールを制御する車で、プログラム次第で大きく挙動が変化する
・論文を読んでロジックを出来るだけ正確に落とし込むが、テストによるフィードバックは必要だった

・グラフィックの描画なども同時に行う必要があるので、タイヤの挙動などは近似値的な物に置き換えている
・GT5でもレスポンス向上のために、端折れる所は端折っている
・ダメージ計算を盛り込んだが、これを超精密に再現するのが衝突シミュレーションのCG
・それをPS3で再現するのは無理がある。まあゲーム内のクラッシュは真面目に計算したら木っ端微塵の全損が殆どだがw

・空力もリアルタイムの演算が必須な物では無い
・仰角とヨー変化のデータを取っておくとかなり正確に再現出来る
・空力も正確さを追求するときりがないが、タイヤと路面の関係に比べるとシンプルで素直なテーマ

・物理演算の進化の方向はやはり精度の向上が重要
・エンジンがモデルチェンジしても劇的に変わるという物では無く、細かい精度向上の積み重ね
・GT5のリアル感はレーシングスピードのリアル感で、それは実車にかなり近付いた自信がある
・が、街乗りのフィールを再現するのは手に負えない。ポルシェでちょっとした段差を乗り越えた時のソリッド感とか
・そういう気持ちよさもリアルでは重要だが、まだ再現出来ない
・日常的な速度では車はバネだけでなくブッシュの変形による影響も大きいが、今の毎秒300回程度の演算では表現し難い
・毎秒一万回の演算が可能になれば新しい地平が開けるのではないかと思っている

・コンピュータの本質が速度にある事は過去を振り返るとはっきりしている
・グランツーリスモの企画は最初は没になったが、自動車業界とのコラボなどが可能になったのも突き詰めれば速度と精度のアップがあってこそ、それがコンピュータの本質

・UIも重要で、今売られているのは200ドルぐらいのステアリングだがこれに100倍ぐらいのコストをかければ画期的に面白い物になる
・03年にFHIと六軸アクチュエータ付きシミュレータを開発した時は初めて実車より安いシミュレータが出来たと言われたが、これも300万円以上だった

・本気でやるとそれぐらいかかるのだろうが、最近は電動パワステ用のモーターが安くなってきて、それを利用したステアリングコントローラが登場しつつある
・内部的には高い精度のステアリング情報を持っているので、それが再現出来る高性能のコントローラが出れば操舵フィールのリアリティはかなり向上すると思う
・これには大いに期待している

・若者のスポーツカー離れについては、元々車好きで運転が上手くなりたいという所がGT開発の切っ掛けだったので、どんな動機でもGTを遊んだ人が車好きになってくれれば良いと思う
・実際GTが切っ掛けで自動車メーカーに就職したというユーザーもいて、これは作り手冥利に尽きる
・GTは車を開発したり熟成するという要素があるが、これは物理演算エンジンという核があってこそ。ただアミューズメントでなくリアルに拘ったからこそこういう展開が出来ると思う

・自身を振り返ってもR32 GT-RのアテーサE-TSの動きが面白く、それが再現したいという所からGT開発にのめり込んだという思い出がある
・今であればGTで体験してから実車で再確認する世代が育っているので、その世代に実車と違うと言われないよう、物理演算エンジンの精度に磨きをかけたい



 ◆インタビューその2
 インタビューはもう一個あります。長いので前の物よりも更に簡潔に。

・GT5の何が進化しているかというと全部。言い出すときりがない
・ゲームの開発は100イメージした内の30ぐらいが出来れば御の字。01-02年に思った物がようやく形になったが、大体3割ぐらいではないか
・三割というのは、「実現した」事と「意図通り完全に実現した」事には大きな隔たりがあり、そこを指しての物

・GT5は140人で2000日ぐらいかかったが、取捨選択はあるしもっと改良したいとも常に思う
・GT5と名乗れる物にはなった事には満足しているが、もっとやりたい事があるという気持ちはある
・GT5はGT1-4までとは区切られた、ゼロから作り直した所がある物で、これで開発が終わりではなくここからが始まり

・リアルの追求のみではなく、自動車の美しさや格好良さという運動を表現したいという目標もある
・GTの影響力については殆ど考えない、たかがゲームだし。車に興味を持つ人が増えてくれると良いと思う
・自動車メーカーとの作業については自動車とは、その格好良さとはと言う事をみんなで考えたい事
・一つのメーカーで完結する事でもないので、みんなが一緒になって色々するのが大事で、その一つがGT

・GT1を出した当時、GT5のようなゲームが出来るという想像はしていなかった。目の前の問題や勝負といった物に何をするかの繰り返しで、毎回ゼロからの積み重ねな感じ
・GT以外に作りたい物も色々あるが、一向にGTが終わらないので改めていうのは恥ずかしいが…
・人間はいかにして生きるか死ぬかという事を考えさせられるゲームを作りたい。他のエンターテインメントでは出来ているが、ゲームでは出来ていないので。ゲーム産業に身を置く人間としてはその責任もあると思う

・完璧主義者というかサービス精神が旺盛なだけだと思う。こうだったら良いだろうというのをひたすら考えているだけ
・完璧主義者というと自分の中で完結しているイメージがあるが、他者があって初めて成立するような、「芸を磨く」という事ではないかと思う

・個人的にはオンオフの区別や仕事と余暇といった考えは無い。近代以前の人間にとって生きる事と仕事をする事は渾然一体となっていたのではないか云々


・ニュルのレースは、これ以上の勝負は引き受けられないがニュルなら良いかと思って誘惑に負けた
・25kmのバンピーで狭いコースを240台が走るのは凄く危ない、しまったなと思った。テクニック的には問題なかったが、サーキットは知っている社会の外なのではないかと
・そこは一歩間違うと命の危険のある向こう側の世界で、戻った時に平和で安全で秩序のある社会が奇妙な物に見えた、その時に自分が行ったのは社会の外、要するにあの世に行ってきた事に気づいた
・冒険や登山や格闘技など、合法的に社会の外に出る方法は幾つか他にもあるが、これは凄く不思議
・そもそもニュル北コースみたいな場所でレースはやっちゃいけないが許されている、それは社会の隅に残されているちょっとしたフロンティアで、そこに行って帰って来ると人間が成熟している、通過儀礼みたいな物
・本当にニュルはおかしい、アウトバーンで250km/hを出すよりもバンピーでアップダウンもあり狭いコースをそれ以上の速度で、周りにも限界で走っている車が一杯いる中で走る、安全な場所が無いというのがゲームと実際のレースの違いで、本物は成熟が訪れるというのは凄い事
・ゲームを通しては、実際に安全に走れるテクニックをGTで学んで欲しいというのがある。ウェットを入れたのもゲームでは過酷すぎるが命を落として欲しくないという気持ちが凄くあって入れておきたかった

・理想の車はGT敵にいうとアウディR8やレクサスLFAが理想に近い、レイアウトとして一番運動性能に優れているから。ランボルギーニのムルシエラゴやガヤルドも良い
・車の素性の限界という物はあり、基本レイアウトが優れていないと最終的に良い車にはならない。LFAはやっと出てきたが、15年ぐらい前からああいうレイアウトの車が出て欲しいと思っていた

・クリエイターと経営者の両立は難しいのだろうが深く考えていない、良い物を作る時に必要な物の一つが経営だった
・理想の物を作るには自分で会社を作るしかないが、経営者として社員皆を幸せにしないといけないという責任感、プレッシャーは相当ある


・オンライン機能は好き嫌いが分かれる物なので、全くコミュニケーションしなくて良い物から積極的にする必要がある物と全部用意した。が、勝ち負けがあるならコミュニケーションはあった方が良い
・人間的な部分が残った方が良いと言う事、当て逃げで勝つ事は出来るかもしれないが、コミュニケーションがあれば一定の秩序や倫理が生まれるのではないか
・今後のGTの方向性はGT5を進化させる事は勿論、PS3では八割のユーザーがオンラインに繋いでいるが、その声を聞いて変化させていく事は必要だろうと思う
・オンラインがこの先どうなるかは分からない事が多く、興味があるのは何をすればオンライン上の人がハッピーになるのか。でもそこは分からないというのが正直な所なので、一つ一つに一番良いと思える事をやっていきたい

・オンラインじゃないGT4までは作品として完結した、自己愛的に作れる物だが、オンラインとなるとそれだけではやっていけない。そのコミュニティの人達の意見に耳を傾けないといけない。自分らが価値を提供していて、そのコミュニケーションは面白いと思っているが

・オンラインのインフラ整備は、テクニカルな困難は良いのだがそこにいる人達がみんな幸せになるためのシステム、ルール、サービスをどう作るかやってみないと分からないのが興味深くも大変な所だと思う
・地理による区分が存在しない、とてつもない規模の公共圏に対してどうすれば良いかは未知な部分

・自分自身はネット成立以前の価値観で物を作っていて、美意識や道徳観、倫理観もそうだがテクノロジーの効能もよく分かり、どう社会に影響を与えるかに敏感
・ネットが当たり前の世代は情報技術がもたらす社会の変容というような物に無自覚で、両方分かるのでどうあるべきか考えてしまう
・ネット上にある物が世界の全てだと受け止めるにはそれ以前の時代を知りすぎているが、それがもしかしたら教育的に働くかもしれないが、はたまた単なる時代遅れなのかは分からない

・エンジニアと議論しているのはそういう所。便利だと思ったらエンジニアは何でも作ってしまうが、コミュニケーションの流動性が上がるのは凄く良い事かもしれないが副作用もあるので設計は慎重にしないといけない
・例えばTwitterで「GT5の発売を延期しました」と呟くと9割が励ましで1割が罵詈雑言、これが2ちゃんねるになると逆になる
・これは人が違う訳じゃなくて仕組みが違うだけ、人間は与えられた仕組みを無自覚に使うとそれぐらいかわってしまう。ネット掲示板は炎上する仕組みになっていて、全員が前後関係を追えると元々の議論でなく必ず言い方などの様式に議論が流れて炎上する
・ある発言のレスを全員が追える仕組みだと必然的にそうなる、だったらそうしなきゃ良いという話。するとむき出しの悪意がぴたっと止まる、Twitterの140文字という字数も大事で、TLがどんどん流れて前後が追えない事も大事で、あれは人が持っている善意みたいな物を抽出する仕組みだと思う
・でも、どちらもエンジニアが便利だと思って善意で作っている物で、そこに技術の恐ろしさがある。だからこそ自分たちが作る物はそこに自覚的でありたいと思う

 これでインタビューは終わりなんですが、まさか最後の方ってあのGT5スレを見ての感想なのでは…昔からそういう事にしたいのですねとかあったりはしますが。





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