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2011年2月21日月曜日

NB1579 3DS特集

 ◆今週の焦点・カプコン社長 辻本春弘氏
 3DS特集とは別枠で巻頭掲載されている、問答形式。
 タイトル「3DSを機に海外展開加速」

(3DSのゲーム産業への影響は)
・新ハードは市場への大きな刺激になる
・従来海賊版が広まりビジネスが成り立ちにくかったが、対策が施されたという3DSではグローバルなビジネスの機会が広がる
・3DSのスタートダッシュは確実に見込めるのであとは供給次第
・欧州では夏期休暇に携帯機を持って行くので、ソフト販売側には重要

(任天堂のサードとの協調という題目について)
・任天堂の永遠の課題認識ではないか
・色々なメーカーと協力してアドバイスをするのはプラットホーマーとしてあるべき姿で望ましい

(3DS版SSF4について)
・3DSの通信機能を活かした。他の3DSにソフトが無くても一緒に遊べる



(NGPやスマートフォンなどプラットホームの増加)
・主力の家庭用ゲームは維持成長させなければならないが、年初に家庭用、携帯、PC向け開発を一部署にまとめた。スマートフォンをゲーム機の一つと位置付けて機動的なPR体制を取るため
・比重の配分は状況次第だが、重要なのはゲームの内容がハード特性を活かした物である事
・本当に重要なのはハードを買ってでも欲しいと思えるソフトを作る事、それが使命

(スマートフォンやソーシャルゲームの収益規模)
・今後は課金しつつゲームを継続する手法を学ぶ必要がある
・家庭用ゲームのPRとして利用するケースも有り得る
・廉価版として配信するという取り組みもある

(経営の目配りする点が増えるが)
・産業が成長する中では当然の事で、企業力を発揮するチャンス。ブランド価値を高めてグローバルな成長戦略を取る

 ◆特集・任天堂の突破力
 分量が結構あるので簡単な記事概要を。

・体験会について
 試遊者の表情が一変した、画面をのぞき込むと目を見張り、息をのむなど人が大量に来てポジティブだったと報じ、予約もすぐ締め切られたと紹介。だが任天堂の業績は踊り場にあり~

・新ハードの業績影響
 業界には逆風が吹き、ライバルとの競争も続くがスマートフォンも台頭している。3DSは価格も高く、国内市場の携帯機シフトもあって業績への影響は以前の新ハードよりも格段に大きくなる。

・株価の変動
 発売日の発表と業績予想の下方修正で大幅な株価下落があり、部品メーカーも株価を下げた。

・普及が見込める3D端末
 3D立体視で"経済圏"が広がる可能性があり、海外の映像コンテンツ企業との交渉も水面下で進む。3DSは再び社会現象を起こせるのか。


 ●モノ哲学・最初は3Dではなかった

・ハード開発には4-5年かかるが、3D機能を搭載する事を決めたのは二年前だった

・3Dのトラウマ
 ファミコン3Dシステム、バーチャルボーイ、ゲームキューブと3D立体視は不調に終わり、GPASPへの3D液晶搭載も断念。そのトラウマを払拭したのは3DSの試作品だった。液晶の精細度が上がりクロストークが発生しづらくなり、高精細な映像を見られるようになった。岩田社長や宮本専務が見て、「予想よりはずっと良い」という事で搭載を決めた。

・ちゃぶ台返し
 E3 2010の2-3ヶ月前にジャイロ搭載を急遽決定。任天堂ではこうした変更が珍しくなく、Wiiリモコンへのスピーカー搭載も同様だった。DSも途中で二画面に。「ハード屋にはソフトの事は本当に分からないし、ソフト屋も逆。お互いの都合を慮っていては普通の物しかできない」by岩田社長。ゲーム機はモデルサイクルが長いのも最後まで仕様を考える理由。

・回転寿司
 発表タイミングが良かったと岩田社長。だが単なる偶然ではない。任天堂の物作りは「回転寿司のように流れる要素技術を取っていく」by岩田社長。要素技術を自分で開発しない分メーカーは技術を売り込みやすいポジションにある。筋の良い要素技術を見極めて採用する目利き力が重要。

・目利き力継承
 継承が難しい目利き力だが、社長は「数人が引退すると任天堂でなくなるようなら企業ではない、若い社員にも筋が良いと感じる社員はいる」。同じ経験をして貰うのは不可能だが、どこで判断しているかを学んで貰うしかないと。


 ●宮本氏のソフト作り

・ゲーム作りは一人が悩む物。決断も一人
 全員の意見を尊重すると内容はぶれるので一人が決断する体制が理想。

・制約が面白い
 作品の密度が重要で、物量が必要な開発はしんどい方向。

・裏切る時は裏切る
 マリオが左にも進めるようになった事について。


 ◆戦略転換・ソフト会社へ配慮
 原宿の展覧会や新江ノ島水族館でのDSを使ったガイド、教育機関での利用など、DSの普及台数が持つ意味。後継機のハードルは高い。

・任天堂当初1タイトル
 だが一足飛びに普及する事は当然不可能。まずは当初購入するゲームファンをどう捉えるか。メディクリ社長曰くその鍵は他の会社がどれだけ引きつけられるかと分析。体験会では任天堂が当初1タイトルとは、と大手会社の幹部も驚いた。DSでは13タイトル中6タイトルが任天堂だったが、戦略を大きく転換。更にnintendogs+catsと他のメーカーと重ならないジャンルにして、商機を他のメーカーへ享受させる配慮。

・期待高まるサード
 任天堂カンファレンス2010の「任天堂ハードで売れるのは任天堂のソフトばかり」という課題。DSではサードのヒットも出たがWiiでは解決しなかった。3DSで同じ事が起こらないよう、サードパーティにお膳立てする。
 サードコメント・カプコン辻本氏「新ハードは市場活性化の上で望ましい」UBIソフト日本のミラー社長「発売タイミングを上手く使って当社の新たなファンを作りたい」マーベラス中山社長「今年は3DSに張り、発売予定タイトルの半分は3DS向け」レベル5日野社長「3DSを見た瞬間必ず売れると確信した」バンナム鵜之澤副社長「3DSは子供に受け入れられる可能性が高い」コーエーテクモ襟川社長「立体視がゲームに合っている事が改めて分かった」コナミ榎本執行役員「表現の進化に乗り遅れないためにも初期参入の必要があった」。

・ブームの仕掛け
 だが、サード主要は一様に「どこかに全面的な肩入れはせず他方面外交をする」とも言う。マルチプラットホームは今や基本戦略だが、どう3DSにリソースを割いて貰うのか。eb浜村社長「DSとWiiは社会現象だった」皆が持っているから欲しいなどでゲームファン以外も購入。3DSでも再び社会現象を起こせるか。
 その為に、任天堂はブームに繋がる仕掛けをそこかしこに仕込んだ。3Dカメラ、すれ違い通信、すれ違いMii広場など。常に驚きを提供するという任天堂の姿勢は変わらないが、周囲の環境や価値観は変わりつつある。その中でも任天堂は社会現象化の再現に挑む。その鍵を握るのは岩田社長。

 ◆岩田社長インタビュー

・任天堂はハードとソフト一体の娯楽を提案してお客さんに驚いて貰うのがミッションと思って働いている人の集団
・驚いて貰うためのネタが提供しにくくなった時が新ハードが必要なタイミング
・そろそろ次のステップに行く必要があると考えた。3DSで当分はアイデアに困らない端末が出来たと思う

・特徴を一つと言われたら勿論立体視の新しいDSという事
・もう一方の大きな特徴が通信機能。3DSでは通信コストや月額費用を払ったりせずに楽しんで貰いたいと思う
・他モーションセンサーやカメラ、AR、ジャイロも加わった。色々なトライが出来る

・(目標台数は)売る前に考えても仕方ないが目標はクリア、DSよりも多くの人に触って貰いたい。提案が魅力的で価格が出費に見合うと判断して貰えれば結果が付いてくる
・ゲームに対する態度は色々な人がいるが、ゲーム開発から携わってきた人間としてゲームの素晴らしさを理解して欲しいという気持ちが人一倍あるので、長期目標としてゲームを理解して楽しむ人を増やしたい

・触れる人が増える手立てとしては、面白い内蔵ソフトを用意している。一台でそこが遊び場になる
・例えば3DSカメラで人の顔を合成すれば大笑いが起きるしwAR技術との相性も良い

・いち早く買われたお客様は「見せて見せて」とせがまれる可能性が高いので、その時にアピール出来る機能を内蔵しようとなった
・すれちがいMii広場はちょっとした事だが不思議なコミュニケーション

・世界多地域での展開は、日本、欧米、オーストラリアの初期需要をどれぐらいで満たせるか分からない時点で計画を出すのは早すぎる。生産キャパが需要より多くなる時は必ず来るので、その時に新マーケットにチャレンジしたい
・新興国で3DSが高すぎると言われる可能性をどう乗り越えるか

・3Dの驚きには暫くすると慣れるが、2Dに戻すと明らかに寂しい。放送がアナログから地デジになって感じる印象にある程度近いかもしれない

・山内相談役が最後に口に出したのは「次の携帯機は二画面にしたらどうか」と言った時。どう活かすかは自分で考えろとも言われたが、山内氏のみがDSを考えたのではない
・きっと我慢していると思うが、そうあるべきとも考えているからでは。現役の使命は「自分が出て行ってどうにかしないと」と思われないように頑張る事


・3DSの価格は為替レートだけでなく税制や商環境、流通マージンも違う
・今の円高は日米欧の状況を反映しているとは思わない。輸出企業にとって今の為替は強い逆風で頭の痛い問題。ドル建てユーロ建てを増やすほか、努力の余地があると思う
・円、ドル、ユーロとバランス良く持つべきかと考える

・(株主利益と経営手法が相容れないのではないか、上場を続ける必要はあるか)株主利益だけだと実は株主利益にならないと思っている。全体が良しとならないと続かない。バランスを取る事を見て貰えれば株主の為とも考えている
・MBOはしないのかという質問を受けた事は以前もあるが、株式市場のお世話もあって信用力が上がり発展出来た経緯がある。株主に色々言われるから非公開にすると言うのは価値観と相容れない。中長期的な視点を株主に理解頂く努力をして市場と折り合いを付けたい

・(年末商戦とNGPについて)3DSを勢いづけられれば市場を拡大出来ると思う。ソニーさんの製品は分からないが、方向性が違う提案が複数あると多くの方に話題にして貰いやすくなる。上手く盛り上げていけると良いと思う

・(ソーシャルゲームやスマートフォンアプリなど、無料や安価なソフトについて)無料と有料で同質なら無料に行くのは道理。どう同質にならないかだと思う。任天堂が何故任天堂なのかというとハードとソフトを一体で提案する事でお客さんを驚かせる手口を多く使えるからだと思っている。任天堂は無料や安価、という世界とは一線を画す。出口を増やすのではなく、最適な場所に絞ってお客さんに価値を認めて貰うという方向でやっている。任天堂はゲームのデフレに対応出来ると考えている。その為には彼らに出来ない事をしていかに価値を認めて貰うかに全てがかかっているのではないか




「ニンテンドー3DS アクアブルー」(Amazon)
任天堂
2011/2/26発売予定

 

2 件のコメント:

  1. まとめ乙です。
    中々興味深い。

    3DSがどうなるのかはともかく、
    >マーベラス中山社長「今年は3DSに張り、発売予定タイトルの半分は3DS向け」
    なんかフラグを見た気が。

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  2.  マーベラスのはちょっとフラグにも見えますが、次の段で各社首脳はどこかに入れ込む事はしないと口を揃えるともありますし、マルチタイトルを一つと数えてその内の半分で3DS版も出るという可能性もあるのではないかと。
     PSP/3DSのマルチが増える展開でしょうか。

    返信削除

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