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2010年11月24日水曜日

DG15 PSP「タクティクスオウガ 運命の輪」 [スクエニ]

 ◆概要等

・攻略記事は無いが、松野氏、宮部氏、米澤氏の鼎談あり
・その他、電撃プレイステーションで連載中の絵描きさんのイラストあり、各2ページ全面
 huke氏のニバスさんとクレシダさん他スケルトン、文倉十氏のデネブかのぷーホワイトナイト二人とかぼちゃ大量+フェアリー、tomatika氏の汎用職大量+ニバスさんクレシダさん海賊の人ラヴィニスさん、コザキユースケ氏のテンプルコマンド集合、KEI氏のデニムカチュアヴァイスだと思う、といったイラストが掲載されている。電撃の物とは違うイラストです。

・ついでに、後ろの方で連載が始まった西村キヌ氏のイラストもTO


 ◆鼎談
 松野泰己氏、宮部みゆき氏、米澤穂信氏の三人による鼎談。未クリアの人にはネタバレ要素があるので注意。
 当然ですが原文そのままではないので、抜け落ちたニュアンスはあり、取り違えなどもあるかもしれませんが、その辺は発売をお待ちになって雑誌でお読み下さい。

松・宮部氏の小説も米澤氏の小説も大好きで楽しみに新刊を買いに走るぐらい。そんな二人が目の前にいる事が信じられないが…w
宮・いつか松野氏と合いたいと思っていた、「こんな素晴らしいゲームを作ってくれてありがとう」と伝えたかった。米澤氏も同じ想いではないか
米・タクティクスオウガのおかげで宮部氏との縁も生まれてこのような場に招いて貰えたのは不思議な気分
松・恐縮です、心臓が痛いですw
宮・この企画の話を聞いた時に真っ先に浮かんだのが米澤氏だった。たまたま本を読んで、編集担当が同じだったのでゲームをする人かと聞いてみたら、タクティクスオウガというゲームが好きだとうかがった事があると言われ本当ですかーッ!とw
米・担当さんはゲームの事はご存じなかったですよね
宮・そんな事はお構いなしで、そのまま電話で今から言う事をメモして米澤氏に伝えて欲しいと言った。「今14周した所で全ルート制覇ギルバルドエンディングも見て全キャラ育て全イベント見ました」
松・すごいw
宮・「ただし私は慎み深いので死者の宮殿は毎回最下層まで二回までしか行かない事にしています、米澤さんはスナップドラゴンを一杯使っていますか?」以上を漏らさずお伝え下さい、とw
米・スナ…なんとかを使いますか?ということですが分かりますか?と伝わってきた。その話を聞いた後にちょうど、出版社のパーティで宮部氏と会う機会に恵まれた
宮・他の人をそっちのけにTOの話で夢中になった。その時に、いつか松野氏に会えたらいいねと言う話をしたが、まさか作品がこんな形で生まれ変わって会う機会に恵まれるとは思っていなかった
米・本当に嬉しいが、私は死者の宮殿を三周しかしてないので宮部氏に比べるとここにいて良いのかと
松・三周でも凄い、充分すぎますw
米・宮部氏は私より遥かに忙しいのにどうやってプレイしているのか不思議でしょうがない
宮・それは色々な事を放っておいてw
米・学生時代に、図書室の連絡ノートで知らない誰かが出題してくる詰め将棋ならぬ詰めオウガを解いて時間を費やした記憶がある
松・それも凄いですね
米・誰でも書いて良い雑記帳みたいな物だが、熱狂的な伝説のオウガバトルファンがいて、ノートに「あなたのチーム編成は××、敵のチーム編成は△△、今あなたはこのビーストテイマーのカリスマを維持し、アラインメントだけを下げなければビーストマスターにはなれませんん、その際に取るべき作戦を答えなさい」とか書いてあった
宮・すごい~w
米・答えを解いて出題して、と繰り返していたら最後に相手が分かり、直接話をした。ウォーレンはクラスチェンジさせない方が、いやリッチまで育てた方が強いとかで大論争になったw
松・シリーズをそんなに遊んで頂いていたとは…恐縮です

宮・元々ゲームを勧めてくれたのは綾辻行人さんだった
松・ええっ!
米・そうだったんですか!
宮・書く物が増えてきてストレスが溜まると話したら、ゲームをやると楽しいと勧めてくれたので始めてみた。最初はどれを買えば良いのか分からずに綾辻さんに相談していた。TOの前にプレイしていたのはトルネコの大冒険とスーパーメトロイドの二本のみ
米・スーパーメトロイドをクリアしたんですか!?w
宮・アイテムを全部取って2:17がベスト記録
米・あれもそんなに温くはないのに、そして三作目が…
宮・TOだった。ゲーム屋さんのポスターで一目惚れして、綾辻さんに聞いたら難しいから他のSRPGからやってみてはと返されたが、その時紹介された作品よりTOのポスターが素敵で、どうしてもやりたいと決意して買って帰った
松・プレイしてすぐクリア出来ました?
宮・最初は一年かかった。しかも最後にデニムがあのあれされるエンディングで放心。何か違うエンディングがあるはずだと攻略本を買い込んでプレイしてそこから更にはまった。難しいが石を投げていればw成長する実感があり楽しんでいた。米澤氏は当時学生さんですよね
米・受験期だったのでSFC版を買ったまま暫く放置していたが、伝説のオウガバトルをやりこんでいたので期待感は強かった。そうこうしている内にサターン版が出たのでそちらでプレイしてみた
宮・移植版の違う点とは?
米・ボイスが収録されていてそれは良かったが、当時サターン版のディスクの中にスタッフのメッセージが見られる仕様があった。クリア後にパソコンに入れてみると気になる事が書いてあり…
松・気になる事?
米・ボイスの関係上、ストーリーが一カ所変わっている部分がある、SFC版もぜひやってみて欲しいというような事が書いてあり、気になってSFC版を引っ張り出してやり直した
宮・変わっている部分は大違いだった?
米・大事な部分が変わっていて驚いた。あるイベントでヴァイスが窮地に陥って(中略)デニムの名前を呼ぶ部分が取られていた
宮・言葉の重みが違ってしまう変更ですね
米・あのシーンでは、(中略)小さい違いだが世界観的には非常に重要な違いと言えると思う
宮・言葉が大事なゲームですからね。小さな台詞や二つ名など、様々な部分にこだわりがうかがえるし
米・やはりオリジナル版を遊ぶべきだと痛感した出来事だった
松・ありがとうございます。そこまで言って貰えると、細かい部分にまでこだわった甲斐があります

宮・大量の登場人物や世界観、歴史を構築するのは大変だと思うが、「オウガバトルサーガ」は松野氏一人で作られた物か
松・はい、そうです
宮・例えば実際に戦乱があった地に取材に行ったりは?
松・小説家の先生方のような取材というのは積極的にはしていないが、80年代にCNNが放送されるようになり世界情勢を知る事が出来るようになった。特にベルリンの壁の崩壊はリアルタイムで観た。ニューズウィークも日本語版の創刊から読んでいて、これらが創作の大きな原点になっていると思う。時にとんでもない記事もあるが、基本的に海外の情勢がよく分かる。日本では考えられないくらい悲惨な事が世界の地域によっては平気で起こっている、若い頃はそういう現実を作品のモチーフに出来ないかと考えながら読む事が多かった
米・なるほど
松・ベルリンの壁崩壊やユーゴ紛争については特に思う所があった。日本人は民族紛争と言ってもピンと来ない部分があったので、逆にちゃんと描いてみる価値があるのではないかと思った
米・ヴァレリアがユーゴだとすれば、新生ゼノビアとローディスが米ソにあたる?
松・まさしくその通りです
米・大国に挟まれ、複数民族からなる集団が国を保てるのか、一枚岩になれるのか?それがTOの大きなテーマだとした時に、何故ラスボスが彼なのか、それを自分なりに考えた時期があった。ゲームとしては納得いかない所もあって
松・その意見はよく分かります
米・ユーゴ紛争がモチーフなら、乗り越えるべき相手はチトー以外にあり得ないからこそ最後の敵は彼なのではないかと考えた
松・米澤氏のおっしゃる通りで、そこまで理解して頂けて光栄です
米・長年の疑問というかもやもやがスッキリした
松・実際にはゲームなのでそこまで複雑な話は描けないし、きちんと描いていないからこそ最後がやや唐突でご都合主義的な部分も否めないが、僕の中では最後の敵は彼しかいない。彼を失ってなお一つに纏まる事が出来るのかどうか。それを物語として示したかった
米・後継者の話を含め、これほどのテーマをエンターテインメントとして見せるというストーリーテリングは、ゲームでは類を見ない物だったと思う
松・とはいえ、プレイヤーの中には反発する人が多いのも当時から自分では理解していたつもり。共和制で起こる戦いを描いてきたのに何故世襲の話になるのかと
宮・そこにはどんな意図が?
松・日本のプレイヤー向けだったのが大きな理由。日本が世襲制のお国柄なので、最終的には世襲の流れを描く方が日本人には理解を得られるのではないかとあのような形に
宮・権威と権力が別々に存在するという形ですね
松・この作品のエンディングを海外スタッフにも読んで貰ったが、非常に日本的だと言われた。アメリカの場合は革命家が主役となってそのまま君主になるパターンが理解を得られるだろうとも
米・~~~~が君主になるのがアメリカ人にとって違和感があるのは何となくわかる
宮・デニムが君主になっても(略
米・w
宮・苦労してクリアしたらあれだったので魂が半分抜け出したみたいになったw
米・今回が初プレイの人も同じようになる方がいるかもw
宮・それがあったからこそやり直し、別エンドにたどり着いた時は涙が出た
米・いわゆるベストエンド的結末だが、あれはあれで当時は納得出来なかった、なぜデニムが~と
松・僕なりに彼を幸せにしてあげたいと考えた結果だった。彼があの後平和に暮らすにはああするしかなかったと思う
米・数年経ってみたらそれが理解出来た気がした

 長すぎるのと色々なので以下更に簡略化。

米・ゲームの選択肢なんて何を選んでも変わらないという評を見たが、15年前からTOがあるだろうと思った。選択肢が物語になる所が色褪せない理由の一つだと思う
宮・このゲームをプレイした後の夢の一つに、マルチエンディングの小説を書いてみたいという物がある、どの終わりも納得が行くような。読みたくないと思われたら終わってしまうのでなかなか手が出せないが。また、いつかは民族浄化のテーマにも触れてみたい
米・ユーゴ紛争について改めて考えるようになった。よその国の不幸を持ってきて、単なるエンターテインメントにもせず説教一辺倒にもならないように伝える道はあるのかと。そのマイルストーンはTOだった
宮・主人公の選択と行動が物語に繋がり示されるという経験はゲームにしかできない。自分の意志が入る事でしか体感出来ない感動、それをPSPで携帯しながらどこでも味わえるのはとても幸せ。昔は正月休みにスーファミ担いで実家に帰っていた

宮・今回システムを大きく変えたのは大変ではなかったか
松・大変だったがベタ移植もしたくなかった、自分の中では古いシステムだったので。しかし作り直すにしても膨大で、よく作ったなと15年前の自分を褒めたい気持ちと大変な物を作りやがってと言う恨みが半々だったw
宮・作品毎に大きくシステムが違うが、切り替えはしているのか?
松・特に意識しないが、同じ物を作っていたら飽きてしまうし行き詰まってしまう。違う物を考えていた方が面白いというだけの事。自分から見ると小説家の皆さんの方が感心する。どのように切り替えを?
宮・切り替えなどではなく、書きたいテーマが決まったらそこへ向かってという繰り返し
米・あまり強い意識はしない。ところでオウガバトルサーガは伝説の時には既に出来上がっていた?
松・その時はなかった、おぼろげな全体像はあったが、行き当たりばったりで。当時は印象を大きく見せようと必死で、ここまで続くとは全く思っていなかった
宮・続きの考えは無いのか?
松・今は何ともwやるとしてもまた別システムのゲームになると思う。個人的には宮部氏や米澤氏に続きのエピソードを書いて貰いたいぐらい
宮・昔、サイドストーリー的な物をこそこそ書いていた事はあるが、サーガとなると大きすぎてとても無理
松・それは読みたかったッ!数年前の作品を修正する事ってありますか?
宮・文庫化の際に気になる部分を改稿する方もいるが私はほとんどした事がない。が、昔の作品を今ならこの角度から切り込めるのではと考える事はある
米・それは私もよくある。登場人物の一言を次の作品のテーマとする事で、思いがけず作品同士が繋がる事もあり、そういうのもオウガバトルサーガから勉強させて貰った事があると思っている
宮・TOに出会っていなかったらファンタジー世界に興味を持っていなかったと思う。今ファンタジー小説を書いているのは松野氏のおかげ。その21世紀版が登場するのが嬉しい。プレイするのが楽しみ
米・何とか年末進行を乗り越えてプレイしたいと思う。松野氏にはぜひサーガの続きをお願いしたい
松・戦争物は一つ書くと物語に飲み込まれて疲れるンで、次は明るく笑えるゲームが作りたい
宮・明るいゲームもプレイしたいしそれはそれで楽しみに、でもこれもこれで楽しみにするという事に
米・同感ですw
松・心に刻んでおきます…w

 今号ではここまで、続きは次号に掲載予定。




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